初めてウィッグを手にすると、どこから始めればいいのか迷う方は少なくありません。
ウィッグネットの向きや、ウィッグ本体をかぶる順序など、細かいポイントを知らないままでいると、着用後にウィッグがずれたり、不自然に見えたりしてしまうことがあります。
この記事では、ウィッグネットの装着から本体のかぶり方、サイズ・位置の調整まで、手順を追って解説します。

この記事でわかること

  • ウィッグネット(筒状タイプ)の正しいかぶり方と地毛のまとめ方
  • ウィッグ本体を自然にかぶるための手順と前後の確認ポイント
  • アジャスターによるサイズ調整の方法と適切なフィット感の目安
  • 生え際やこめかみの位置合わせのコツ
  • 着用後にずれにくくするための仕上げのポイント

STEP 1:ウィッグネットを装着する

ウィッグの正しいかぶり方:ネット装着からサイズ調整まで

ウィッグをかぶる前の土台づくりとして、ウィッグネットを正しく装着することが大切です。ネットが正しくかぶれていると、ウィッグ本体がずれにくくなり、仕上がりも安定します。

地毛の状態に合わせた準備

ウィッグネットをかぶる前の準備は、地毛の状態によって異なります。

地毛がほとんどない方(脱毛中・薄毛の方)
頭皮が清潔で乾燥した状態であることを確認してから、そのままウィッグネットをかぶります。肌に触れる部分に刺激を感じる場合は、コットン素材のインナーキャップをウィッグネットの下に重ねる方法もあります。

なお、脱毛が部分的に進んでいる場合、残った毛が不均一に残っているとウィッグをかぶったときに凹凸が生じやすくなることがあります。残った毛を剃る・短くカットするという選択をされる方もいますが、これはウィッグのフィット感を均一にするうえで効果的な方法の一つです。ただし、これはあくまで個人の状況や気持ちに合わせた選択です。無理に行う必要はなく、ご自身のペースで判断してください。

地毛がある方
ウィッグの下に地毛のボリュームが残っていると、かぶったときに頭の形が不自然になりやすいです。以下の方法で頭の形をなるべくフラットに整えてください。

  • 髪が短い〜ミディアムの方:後頭部の低い位置でひとつにまとめ、結び目が出っ張らないようにヘアピンで平らに固定します。
  • 髪が長い・毛量が多い方:髪を2〜3か所に分けてそれぞれゆるく編み込み、頭の形が均一になるようにまとめます。後頭部や耳まわりなど、毛が飛び出しやすい部分はヘアピンで押さえておきましょう。

ウィッグネットのかぶり方

一般的な筒状のウィッグネットは、以下の手順でかぶります。

  1. ネットを両手で広げ、縫い目のある側を後ろ(うなじ側)にして首のあたりまで通します。
  2. 両手でネットの端を持ち、額の生え際に向けて上へ引き上げます。
  3. ネットの縁が生え際に沿うように位置を整えます。
  4. 生え際の中央・両こめかみ・うなじを指でなでつけ、全体を整えます。

地毛がある方へ:ネットがずれやすい場合は、生え際の中央・耳の上・うなじの3〜4か所をヘアピンで固定すると安定します。また、ネット内で地毛が一か所に偏っていないかを指で確認し、均等に分散させてください。地毛がほとんどない方は、ピンを使わなくてもウィッグ本体をかぶることで固定されます。

STEP 2:ウィッグ本体をかぶる

ウィッグの正しいかぶり方:ネット装着からサイズ調整まで

ウィッグネットの準備ができたら、いよいよウィッグ本体をかぶります。正しい順序と方向を守ることで、生え際がきれいに揃い、自然な仕上がりになります。

かぶる前の確認:前後の向きを確かめる

ウィッグには前後があります。裏側を確認すると、アジャスター(サイズ調整の金具やマジックテープ)が後ろ側に付いており、また前中央には縫い目の目印や「FRONT」などの表示がある場合もあります。正しい向きを確認してからかぶるようにしましょう。

また、かぶる前にウィッグが扁平になっていないか確認します。長期保管でぺたんこになっている場合は、内側から手を入れて空気を含ませ、自然な丸みに整えてからかぶると仕上がりがきれいになります。

かぶり方の手順:前から後ろへ

  1. 両手の親指をウィッグの内側(裏面)に入れ、左右に広げるようにして開きます。
  2. 前傾みにウィッグを持ち、額の生え際に前中央を合わせながら頭にのせます。
  3. そのまま後ろへ引くように、ウィッグを後頭部・うなじの方向へ滑らせます。
  4. 襟足の部分までしっかりとウィッグを下ろします。ここを浅くかぶると頭頂部が出っ張って見えたり、後でずれやすくなったりします。

浅いかぶり方は仕上がりに直結するポイントです。「もう少し下へ」と感じるくらいしっかりと下ろすのがコツです。

生え際の合わせ方

ウィッグをかぶったら、自分の本来の生え際とウィッグの前縁を合わせます。目安として、額の生え際から約1cm後ろの位置にウィッグの縁を合わせると、自然に見えやすくなります。

生え際が合っていないと、額の肌とウィッグのキャップの境目が目立ちやすくなります。鏡を見ながら正面・横・斜めと確認し、左右が均等になっているかを確かめてください。

こめかみの位置を確認する

ウィッグには、こめかみあたりにやや硬さのある芯が入っているものがあります。この部分が、自分のこめかみの位置とずれていると全体のバランスが崩れます。

左右の手でこめかみ部分をそれぞれ軽く押さえ、高さが揃っているかを確認します。左右の耳の位置と、ウィッグのサイドの縁が対称になっているかも確かめましょう。

STEP 3:サイズと位置を調整する

ウィッグをかぶったら、アジャスターでサイズを微調整し、全体の位置を整えます。ここまで丁寧に行うことで、長時間着用しても快適で安定した仕上がりになります。

アジャスターの仕組みと調整方法

ウィッグの裏面の後部には、アジャスターが付いています。ウィッグのブランドによって仕様は異なりますが、一般的にはマジックテープ式・ホック式・スライド式のいずれかです。

マジックテープ式・ホック式
中央に向けて留める位置を変えることでサイズが小さくなり、外側に向けるとサイズが大きくなります。最初は最も大きい設定から試し、少しずつ調整していきましょう。

スライド式
スライダーを動かすことで帽体の周長が変わります。こちらも少しずつ動かして様子を確認しながら調整します。

サイズ調整は必ず「かぶった状態」で行います。外した状態で調整してもフィット感を正確に把握できないため、かぶりながら鏡を見て確認することが大切です。

適切なフィット感の目安

適切にフィットしている状態とは、「頭を軽く振ってもずれず、長時間かぶっていても頭痛が起きない」状態です。きつすぎると頭痛や不快感の原因になり、緩すぎるとずれやすくなります。

以下のポイントで確認してみてください。

  • 額の生え際に沿ってウィッグの縁が自然に収まっている
  • こめかみの部分が強く圧迫されていない
  • 頭を軽く横に振っても大きくずれない
  • 後頭部の襟足まで自然におさまっている

アジャスターは「多少ゆるめ」が基本です。きついと感じたらすぐに調整しましょう。

こめかみワイヤーがある場合の対応

一部のウィッグには、こめかみの部分に細いワイヤーが入っています。このワイヤーを指でやさしく内側に向けて曲げると、フェイスラインに沿わせることができ、サイドのフィット感が向上します。強く曲げるとワイヤーが折れることがあるため、少しずつ調整するようにしてください。

ウィッグをネットにピン留めする(任意)

アジャスターだけでは不安な方や、長時間外出する場合は、ウィッグのキャップとウィッグネットをヘアピンで数か所留めると、さらに安定します。ピンはウィッグの内側の縁に沿って、左右のこめかみ付近と後頭部の2〜3か所に留めるのが一般的です。

ピンを使う際は、ウィッグの毛束に隠れる位置に収めるようにしましょう。

仕上げ:全体を整えて完成

サイズ調整が終わったら、全体を整えて着用完了です。

  • 生え際まわり:指でやさしく生え際のヘアラインを整えます。前中央・左右の耳前・こめかみを順に確認し、不自然な浮きがないか確かめます。
  • 全体のシルエット:鏡で正面・横・斜め後ろから確認し、ウィッグのシルエットが自然に見えるかチェックします。
  • 毛流れ:手ぐしやブラシで毛流れを整えます。ブラッシングはウィッグが正しく装着された状態で行うと、仕上がりが安定します。

なお、ウィッグは着用前に自分の頭のサイズを正確に把握しておくと、アジャスター調整が格段にスムーズになります。頭囲の正しい測り方についてはウィッグのサイズの測り方ガイドで詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

また、ウィッグを初めて購入する段階でサイズや種類に迷っている方は、初心者が最初の1本を選ぶポイントも参考にしてみてください。

初心者がやりがちな失敗と対処法

正しい手順を知っていても、最初はうまくいかないことがあります。よくある失敗と、その対処法をまとめます。

失敗1:ウィッグが頭頂部でぽこっと盛り上がってしまう

原因
地毛のまとめ方が不均一で、一部分に毛のかたまりができているケースが多いです。また、ウィッグを浅くかぶっていると頭頂部が出っ張って見えることもあります。

対処法
地毛をネットに収める前に、もう一度指でほぐして均一に分散させましょう。ウィッグは「もう少し下」と感じるくらいまでしっかりと後ろへ引き下げてかぶるのがポイントです。

失敗2:ウィッグが後方にずれてくる

原因
アジャスターが緩すぎる、またはウィッグネットが固定されていないことが主な原因です。

対処法
アジャスターを一段締めて、フィット感を確かめます。それでも不安な場合は、ウィッグのキャップとネットをヘアピンで数か所留めると安定します。またウィッグネットそのものが前後にずれている場合は、ネットの生え際への固定をやり直すことも効果的です。

失敗3:こめかみ・耳まわりのキャップが目立つ

原因
ウィッグのサイドが浮いていたり、こめかみの位置がずれていたりすることが原因です。

対処法
こめかみのワイヤーがある場合は、内側に向けてやさしく曲げてフェイスラインに沿わせます。ワイヤーがない場合は、手でやさしくキャップのサイドを顔に沿って押さえ、なじませるようにします。また、前髪や顔まわりの毛を少し引き出してキャップの縁をカバーするのも自然に見せるコツです。

失敗4:長時間着用すると頭が痛くなる

原因
アジャスターが締めすぎている、またはヘアピンがキャップの下に当たっているケースが多いです。

対処法
アジャスターを一段ゆるめて様子を見ましょう。また、地毛をまとめるときのヘアピンが、外側から押されてかかる力で頭に当たることがあります。ピンの先端が頭皮側に向かないよう、留め方を確認してください。ウィッグネット固定のピンも最小限にとどめることが大切です。

まとめ

ウィッグの正しいかぶり方は、大きく3つのステップで構成されます。

  1. ウィッグネットを装着する:地毛をフラットに整えてネットをかぶり、生え際をピンで固定する
  2. ウィッグ本体をかぶる:前から後ろへ滑らせるようにかぶり、生え際・こめかみの位置を合わせる
  3. サイズと位置を調整する:アジャスターで頭に合わせてフィットさせ、全体のバランスを整える

特に初めてかぶるときに迷いやすいのは、「浅くかぶってしまう」「生え際の合わせ方がわからない」「アジャスターをいつ調整すればいいかわからない」という3点です。これらを意識するだけで、仕上がりが大きく変わります。

最初のうちは手順を確認しながら時間をかけて装着することで、コツをつかんでいきましょう。慣れてくれば、鏡の前で数分以内に自然な仕上がりで装着できるようになります。