ウィッグをかぶると、こめかみや目尻のあたりがなんとなく引っ張られる気がする。顔が不自然に引き上がって見えているようで気になる。そんな感覚を覚えたことはないでしょうか。この感覚は、ウィッグのかぶり方やフィット感のどこかにずれが生じているサインです。原因を特定して見直すことで、多くの場合は改善できます。
この記事でわかること
- ウィッグをかぶると顔が引っ張られる感じがする主な原因
- こめかみ・目尻が引き上がって見えるしくみ
- かぶり直しで改善できる6ステップの手順
- 手順を試してもなお改善しないときの確認事項
なぜウィッグをかぶると顔が引っ張られるのか
ウィッグのキャップは頭全体を覆う構造です。フィット感にずれがあると、こめかみや耳周辺の皮膚に余分な圧力や張力がかかりやすくなります。主な原因は次の4点です。

キャップが小さすぎるか、アジャスターを締めすぎている
ウィッグのキャップが頭囲より小さいと、全周に引っ張る張力が生まれ、その力はこめかみや耳の付け根あたりに集中しやすくなります。「こめかみが締め付けられる」「耳の後ろが痛い」「数時間で頭痛が起きる」といった感覚は、サイズが合っていない場合に起こりやすいとされています。
後頭部のアジャスターを最短位置まで締めた場合も、似た状態が生まれます。後頭部のゴムの張力が前方、こめかみや耳の周辺にまで伝わり、頭全体を輪のように締め付けるためです。サイズ自体は合っていても、アジャスターの締めすぎによって引っ張り感が生じることがあります。
ウィッグを外した後にこめかみや額に赤みや圧迫痕がしばらく残る場合は、締め付けが強すぎているサインとして参考にできます。
かぶる位置が前すぎる
ずれを防ごうと、ウィッグを前方に引き込んでかぶる習慣がつくことがあります。しかし、前縁(ウィッグの生え際部分)が自分のおでこに食い込む位置まで引き込まれると、前縁がこめかみを横方向に圧迫します。こめかみや目尻周辺の皮膚が引き上げられたように見えるのは、この圧迫が一因となっています。
また、おでこが不自然に狭く見えることで顔全体のバランスが崩れます。「前にかぶれば固定が安定する」と感じがちですが、深くかぶるほどおでこが狭くなるという逆効果が起きやすいポイントです。
耳芯の向きや高さがずれている
多くのフルウィッグには、こめかみ付近(耳の少し前あたり)に形を保持するための硬い芯(耳芯)が入っています。この耳芯が外向きに開いていたり、左右の高さがずれていたりすると、こめかみが顔から浮いて不自然な見た目になります。顔の外側へ向かって引っ張られるような感覚にも関係します。
耳芯は専用のワイヤーが入った部分で、向きと高さを手で少しずつ調整できます。左右の高さをそろえ、顔のラインに沿うよう内側へ向けることで、こめかみが自然にフィットします。
地毛が一か所に固まっている
地毛が多い場合やロングの方は、ウィッグネットで地毛をまとめたときに特定の場所にかたまりができると、ウィッグが局所的に浮いてしまいます。キャップが均一に頭にのらないため、こめかみや耳周辺に余分な圧力がかかりやすくなります。ネットをかぶる前に地毛を頭全体に均等に広げておくことが、この問題の予防につながります。
かぶり直しの6ステップ
引っ張り感が出たときは、かぶる位置・耳芯の向き・アジャスターの順に見直すと改善できることが多いです。以下の手順は、アデランス・レディススヴェンソン・フォンテーヌなど複数のウィッグメーカーが推奨するかぶり方を整理したものです。

ステップ1:ウィッグネットで地毛を均等に整える
ウィッグを着ける前に、ウィッグネット(アンダーネット)を使って地毛を頭全体に均等に広げてまとめます。地毛が一か所に固まっていると、ウィッグが局所的に浮いたり、キャップが正しい位置に収まりにくくなります。
ネットをかぶったら、ゴムを生え際から1cm程度内側に合わせておきます。前縁がおでこに食い込まないようにするためです。地毛を一度に全部ネットに入れようとするのではなく、少しずつなじませながら丸く整えるとうまくいきます。
ステップ2:前縁の位置を決める
ウィッグのサイドを両手で持ち、前から後ろへかぶります。このとき、ウィッグの前縁が自分の生え際より少し後ろに来るように位置を合わせます。目安は生え際から約1〜2cm後ろです(アデランスショップ・フォンテーヌ公式に記載)。
指を使った目安として紹介されることもあります。眉の上に親指を除いた4本の指をそろえて当て、その一番上の指の高さが、ウィッグの前縁を合わせる位置のおおよその目安です。
前縁を自分の生え際より前に出すと、おでこが狭く見えるうえにこめかみへの圧力も増します。「前に出せばしっかりかぶれる」と感じがちですが、目安の位置より後ろに合わせることを意識してください。
ステップ3:全体をやさしく後方にずらして位置を整える
かぶった後は、ウィッグ全体を手のひらでやさしく押さえながら後方にずらし、顔のバランスが自然に見える位置を探します。前縁を引っ張ったり、一点だけを強く押さえて動かしたりするのではなく、全体をゆっくり動かすのがポイントです。
えりあしは引っ張らず、軽く沿わせる程度で十分です。頭全体に均一にキャップがのっている状態を目指します。
ステップ4:こめかみ(耳芯)の高さと向きを左右揃える
左右のこめかみ付近にある耳芯を両手で同時に軽く押さえ、高さが左右揃っているかを確認します。耳芯の向きが顔の外側を向いている場合は、こめかみが浮いて引き上がり感につながります。顔のラインに沿わせるように「少しだけ内側」へ向けて形を整えてください。
耳芯のワイヤーは強く曲げると折損する恐れがあるため、少しずつ慎重に調整します。こめかみに沿って自然に添っている感覚になれば適切な向きです。
ステップ5:アジャスターを「多少ゆるめ」に設定する
後頭部のアジャスターは、かぶった状態で調整します。こめかみや頭に圧迫感がなく、頭全体がきつく感じない程度が適切な締め加減の目安です。
アジャスターを最も短い位置まで締めると、後頭部のゴムの張力がこめかみまで伝わります。引っ張り感の直接の原因になっていることが多いため、最短位置での使用は避けることをおすすめします。
ステップ6:正面・側面から鏡で確認する
最後に、正面と側面の鏡でバランスを確認します。以下をチェックしてください。
- おでこの広さが自然に見えるか
- 左右のこめかみの高さが揃っているか
- ウィッグのベースが耳にかかっていないか
- 目尻やこめかみに引き上がり感がないか
正面だけでなく側面からも確認することで、前後のかぶる位置が適切かどうかも確認できます。
それでも引っ張り感が残るとき
手順通りにかぶり直しても改善しない場合は、ウィッグのサイズが合っていない可能性を検討してください。

ウィッグのサイズを確認する
頭囲の測り方は、前髪の生え際から耳の付け根(耳の上)を経て後頭部の盆の窪(首の付け根のくぼみ)を一周するように、メジャーをたるまず水平に巻いて測ります。ウィッグのサイズ表記と自分の頭囲を照らし合わせ、キャップのサイズが合っているかを確認してください。
なお、病気の治療などで脱毛している時期は、脱毛前後で頭のサイズが変化することがあります(レディススヴェンソン公式情報)。また、頭皮が敏感な時期は、以前は問題のなかった締め付けでも不快に感じることがあります。体の状態が変わったタイミングで、ウィッグのサイズを改めて確認することをおすすめします。
インナーキャップの使用を検討する
ウィッグの下にインナーキャップ(布タイプ)を着けると、頭の凹凸を均一に整えるクッションの役割を果たします(スヴェンソン公式が明示)。ウィッグキャップの圧力が頭全体に均一にかかりやすくなるため、局所的な締め付けが和らぐことがあります。
ただし、インナーキャップを着けると頭囲が増えるため、現在のウィッグがすでにきつめの場合はさらに圧迫感が増すことがあります。また、ウィッグネットとインナーキャップの両方を重ねて使うと大きくなりすぎる可能性があるため、通常はどちらか一方を選んで使います。
フィット感の調整が難しいと感じる場合や、サイズを変えても改善しない場合は、ウィッグ専門店に持ち込んで調整を相談することも選択肢のひとつです。
まとめ

ウィッグをかぶったときに顔の皮膚が引っ張られる感覚は、ほとんどの場合、次の3点のいずれかが原因です。
- 前縁の位置:生え際より前に出ないよう、約1〜2cm後ろに合わせる
- 耳芯の向きと高さ:外向きになっていたら、顔のラインに沿って少し内側へ整える
- アジャスターの締め加減:最短まで締めず、圧迫感がない程度のゆるさにする
この3点を手順通りに見直しても引っ張り感が残る場合は、ウィッグのサイズが合っていない可能性があります。頭囲を測り直し、現在のウィッグのサイズ表記と照らし合わせてみてください。
こめかみ周辺のフィット感の調整については、ウィッグのこめかみ・サイドが浮く原因と自分で調整する手順|フィット感を改善する具体的な方法もあわせてご覧ください。